インハウス講習会の案内
●システム・ダイナミックスの活用 ●モデル・ベースト経営とは
●インハウス講習会の内容
●問合せ・申込みフォーム
●講義資料の一例
1.システム・ダイナミックスの活用
システム・ダイナミックスは、実世界を模した仮想世界であるモデルを構
築して、そのモデルを使って、実世界の現象を分析し、問題解決策を探
索するために活用されます。
経営問題におけるシステム・ダイナミックスの活用についてと、仮想世界
を表す2種類のモデルである”定性モデル”と”定量モデル”との関係につ
いて、先ず初めに以下で説明します。
SDモデルにより構築された仮想世界を使って、実世界の活動のフィードバック・ループを補って有効な意思決定を行う構造として、スターマン教授の教科書に下図が示されています。
ここで
、”仮想世界”としてはシミュレーション可能な定量モデルが想定されています。
さて、SDにおけるシステム・アプローチには、定性的アプローチであるシステムズ・シンキングと、定量的アプローチである(狭義の)システム・ダイナミックスとがあります。
定性的アプローチで取り扱う定性モデルを表現するツールは、因果関係図(CLD :
Causal Loop Diagram)と時系列挙動図(reference
mode)です。
一方の定量的アプローチで取り扱う定量モデルを表現するツールは、フロー・ダイアグラムです。
この二つのアプローチであるシステムズ・シンキングとシステム・ダイナミックスの関係を、システム・ダイナミックス学会(SDS)では、ホームページ上で以下のように説明しています。
システムズ・シンキングもシステム・ダイナミックスも、因果ループを描く技術で、システム・ダイナミックスにはさらに、コンピュータ・シミュレーション・モデルを構築する付加的な機能が付いている。
最近、システムズ・シンキングが多くの場面で取り上げられているのは大変結構なことなのですが、時折、システムズ・シンキングとシステム・ダイナミックスとが別物のように説明されるのは、的外れで非常に残念なことです。
これは、システムズ・シンキングと(狭義の)システム・ダイナミックストの両方を含んだシステム・アプローチを、一般には単に(広義の)システム・ダイナミックス(SD)と呼んでいますから、これが誤認識の原因の一つになっているのかも知れません。
次に、定性モデルと定量モデルとの関係を図化すると以下のようになります。
ここで、注目していただきたいのは、定量モデルには、数値を厳密に抑える必要がある”数値分析用モデル”と与えられる条件の違いによる影響を大雑把に把握するための”傾向分析用モデル”とがあることです。後者では、曖昧な変数の傾向を、テーブル関数などを使って表現し、主要な要素の傾向が及ぼす全体の挙動の傾向を把握することが目標になります。
一方の定性モデルでは、”風が吹けば桶屋が儲かる”の落語にもあるように、一見妥当なプロセスのように聞こえることでも、量的には全く成り立たないこともあるわけです。結局
こんな場合には、定量モデルがないと間違いを見抜くことはできません。経営問題ではせめて”傾向分析用モデル”を構築しないと、SDによるシステム・アプローチの目標を達成でき
ないと思っています。
2.モデル・ベースト経営とは
システム・ダイナミックスは、対象とするシステム(例えば、経営、業務、行政、防衛、環境など)に
おける様々な問題を解決するための方法論です。
インハウス講習会では、システム・ダイナミック
ス・ツールの操作法を
初歩から実践的に習得すると共に、自社および自部署の活動への適用を
目指した”モデル・ベースト経営”についても学習します。
さて、“モデル・ベースト経営”の概念は、日本では2002年から提唱されています。元々は、制御設
計の“モデル・ベースト制御”に倣って、筆者が以下のシステム・ダイナミックス学会日本支部の学
会誌等で発表したのが、日本での始まりです。
詳しくはここをクリックしてSD閑話-17 「モデル・ベースト経営」をご参照ください。
松本憲洋;モデル・ベースト経営,JSD学会誌No3,2003年
松本憲洋;BSC戦略経営にモデル・ベースト経営手法を組み込む,JSD学会誌No5,2006年
”モデル・ベースト経営”を端的に説明すると、対象とする経営システムのモデルをコンピュータ上に
構築して、仮想経営により仮説検証を行ない、望ましい条件をコンピュータ上で求め、それを実経
営に適用する
、そのための方法論と言えます。
もう少し具体的に言えば、”モデル・ベースト経営”は以下のステップで実行します。
@問題を解決したい対象システムを、定めた視点から分析する。
Aその対象システムの構造に関して仮説を立てる。
Bそれをモデル化してコンピュータ上に構築する。
C仮想経営(シミュレーション)を実施して対象システムの分析を行い、空間的あるいは時間
的な実績データと対比しながら仮説を検証し、それに基づきモデルを修正して、実システム
を表現できるモデルにまで仕上げる。
Dそのモデルを使って、問題解決策あるいはシステムの革新・改善策を導出する。
E導出した結論を実システムに適用する。
F適用後の状況をモデルによる仮想経営を用いながら分析し、不都合部分に対して適応策を
導く。
読者の皆様もお分かりのように、”モデル・ベースト経営”という概念は、モノ造りの世
界では、制御分野に限らず、極一般的に使われている業務概念です。経営問題にお
いてはモノ造りにおけるこの概念を”モデル・ベースト経営”と称し、モノ造りの場合の
“モノ”に相当する
ものが、”ビジネスそのもの”なのです。
3.インハウス講習会の内容
自社ビジネスに、モデリングとシミュレーションを活用した仮想経営を導入したい。
それにより、戦略を実行前にリファインしたり、リスクを予見し、実経営ではリスクを回避したり、競争力を高めるオペレーションを選択したい。
そんなことが自分たちに可能なのだろうかとお考えの方々は多いことでしょう。
インハウス講習会の標準コースは、
そのきっかけを模索されている方々に提供する、14時間のモデリングとシミュレーションの初心者向けのコースです。
このコースではシステム・ダイナミックスについて、まともなやり方で初歩から学習し、ツールのPs Studioについて主要機能を学習し、その場で簡単なモデルを構築し
ていただきます。
14時間の受講だけでは時間不足のためビジネス・モデルを自由に組み立てるまでにはなりませんが、基礎が出来上がりますから、このコースに引き続き、次のステップのモデリング技術を独習することが容易になります。
ビジネス・モデリングに関するリテラシの「読み・書き」を全般的に修得していただくコースです。
(1)コース名称 :「SDによるモデリングとシミュレーション」
(インハウス講習会)
(2)開催期間 :連続する2日間
(両日とも10時〜18時)
(3)開催場所 :受講会社の指定会場
(4)受講者数 :3人〜6人
オリエンテーションコースを52回開催して感じましたのは、どんなに優秀な方で
も、1、2人でSDの活用を始められると、ほとんどの場合に社内の逆風に消滅す
ることが多いことです。
3人以上ですと仲間で逆風に耐え、実務への活用まで進むことができるようで
す。そのため、インハウス講習会の受講者の最小人数を3人としています。
(5)対象者 :経営スタッフ、事業部長スタッフ、経営コンサルタント、SE などで、
モデリングとシミュレーションを修得することを目的としている人
IT技術としては、WordとExcelを業務で使っている人
(6)費用 :17万円/(3人以内、宿泊が不要な場所)
4人以上は、5万円/人
宿泊が必要な場所の場合には、交通費・宿泊費の実費が別途必要です。
(7)コースの狙い:
自社または顧客企業の新事業展開あるいは現在の事業の革新を行おうとすると
、リスクが付き物です。
そのために、モデリングとシミュレーションに基づく仮想経営(モデル・ベースト経営)を活用して、事業推進の可能性とそのダイナミックな特性とを前もって判断することが、リスクを回避する上で有効です。
その際、タスク・フォース(ワーキング・グループ)のメンバーは、先ず、モデリングとシミュレーション手法を経営技術として修得しておく必要があります。
このコースではそのようなミッションを持った方々を支援します。
タスク・フォースの主だった方々に、実習を含むセミナーを受講していただき、モデリングとシミュレーションを体験していただきます。従って、
このコースでは、 ビジネスモデルに関する「読み・書き・算盤」の導入部分を修得していただくことになります。
(8)講習内容:
モデリング技術に関しては、モデルを構築しながら”習うより慣れろ”の精神で、実学的な修得に努めていただきます。
<<1日目:7時間>>
■ SD概論とSDの導入
・モデリング in 仮想経営
・システム的アプローチによるビジネス・システムの設計
・System Thinking
・Syatem Dynamics
・SDツール Ps Studio の概要
・モデリング事始
・モデリング&シミュレーションを適用する前提条件
・STとSDによる問題分析と解決の標準的プロセス
■ モデリング技術(Ps Studio)
・単位
・貯蔵庫
・データセット(外部との入出力)
<<2日目:7時間>>
■ モデリング技術(Ps Studio) : 続き
・階層モデル
・共有ダイアグラムと個別ダイアグラム
・連続流・離散流・ロジカル流
・配列
・遅れと平滑化
・Solverの機能(最適化とリスク管理など)
・関数
・その他の機能(シミュレーション条件、プロジェクト条件、結果の表現、条件の入力、
結果の保管、イベント機能、スイッチング機能、プレゼンテーション・モード、循環定義など)
■ 付録
・バランスト・スコアカード戦略経営をフレームワークとしたモデル・ベースト経営
(9)教材:
紙のテキスト、CDに収録した
講習で使うモデルを受講者に配布します。
ソフトウェアとしては、フリーのPs Studio Demo版(有効期間30日)を使います。
(10)講師
松本憲洋(工学博士 有限会社 ポウジ 代表)
(11)講習会開催実績
オープンタイプのオリエンーテンションコース:52回(2003年10月3日〜2013年3月11日)
個別機関向け講習会:多数の開催受託
4.問合せ・申込みフォーム
参加を計画されている方は、予定の申込みを
、上図をクリックしてお申込み下さい。
受講申込み
標準コース以外にもモデリングとシミュレーションに関するそれぞれの目的に合わせた
講習会をお引き受けします。
また、講習会以降のコンサルティングについてもご相談に応じています。
下記までお問い合わせ下さい。
問合せのメール
5.講義資料の一例
毎年開催されているシステム・ダイナミックス学会(国際会議)では、Ph.D.Colloquiumの人気が高く、各国から多くの学生や若い研究者が集まりますが、日本からの参加者は皆無
に近い状態が続いています。このことからも、日本でシステム・ダイナミックスがメソドロジとして活用されていない
ことが、世界で特異な状況になっていることが分かります。
システム・ダイナミックスは考える力を補強できるメソドロジだけに、若い人々にその実用性と有効性を知ってもらいたいのですが、残念ながら日本では、システム・ダイナミックスに関する講座を開講している大学がわずか
しかないのです。そのため、多くの学生が、システム・ダイナミックスを知る機会のないままに卒業しています。
そこで、ビジネス領域で
システム・ダイナミックスが多用されている”サプライチェーン(SC)”を対象とし
て取り上げた大学院の講座(Power Point 400枚、3時間x6回)の例を紹介します。 何らかの参考になることを期待します。
講座の詳細と教材のダウンロードには、ここをクリックして
そのページに移動してください。
なお、大学あるいは企業の管理者の方がご覧になり、
これに類する講義、演習、講演などのご希望がありましたら以下の連絡先をクリックしてお知らせ下さい。 期待されいている目的に合わせた内容に
改変することも含めて相談させていただきます。
【 紹介する講座の名称など 】 科目名 :”ビジネス・シミュレーション” (合計 18時間)
(システム・ダイナミックスの基礎とサプライ・チェーン・モデル) 連絡先 :ここをクリックしてください。
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