Ps Studio 2003 の特徴

Studio2003は、経営問題、環境問題、政策問題などに適用できる実用的で、画期的なシステム・ダイナミックス・ツールに変身し、2003年7月1日から日本市場でも発売を開始いたしました。

新製品Studio2003ではオブジェクト指向に基づいて大幅な機能強化が図られましたが、Studio2001の後継商品ですから、基本機能の違いはありません。

 

<機能強化されたStudio2003>
Powersim社が今まで進めてきたオブジェクト指向への地道な取り組みが実を結び、Studio2003では以下のような特長が実現できました。

  リスク評価をStudio内で実行
  モデルの階層化
  シミュレーション性能の改善
  新しいモデリング機能
  再設計されたデータセットの連結
  興味深いシミュレーションのプレゼンテーション

今回バージョンアップされた重要な新機能について概要を説明します。  

Ps Studio にあまり接したことのない方のために、モデルの構成単位であるプロジェクトとコンポーネントについて初めに説明します。

説明の中で、”プロジェクト”とは、拡張子 ”sip”が付いた一つのファイルに保管されている複数のモデル群を指します。”コンポーネント”とは、プロジェクトの中に含まれる独立した一つのモデルを指します。

リスク評価

Studio 2003 にリスク・アセスメント の機能が組み込まれました。これは以前のバージョンではPowersim Solver の4つの機能の一つでした。
構築中のモデルの外部要因、例えばインフレ率とかあるいは決定するのが難しい変数のようなものは、シミュレーション結果に深刻な影響を及ぼすかどうかを表すリスク因子です。リスク評価を通して、モデルの構造と構成要素の変数などのいわゆる仮説における変化が、最終結果にどの程度影響を及ぼすかを知ることができます。
このようなシミュレーション結果は、ある確実な結果を達成できる可能性を表しています。また、リスク評価によって、業績を改善するためのレバレッジ・ポイントとなる変数を見出すこともできます。  

ところで、以前のバージョンのPowersim Solverに含まれていた残り3種類の機能、チューニング、最適化、リスク下の最適化ですが、今回のバージョンには含めていません。次回以降のバージョン・アップで組み込むよう計画しています。


 リスク分析作業によりモデルの感度分析を実行

―――――――――――――――――――――― 

階層モデル

モデルの階層化を組み込んだので、Ps Studio 2003 では、シミュレーション・モデルを小さなサブ・モデルに分解することができます。サブ・モデルを使うと全体モデルでは不必要に詳細な部分を隠して実装することができます。
それぞれのサブ・モデルは独自のダイアグラムを持っていますから、これらのサブ・モデルを構築するのは今までのモデルと同程度に容易に構築できます。
さらに、サブ・モデルは任意のプロジェクトのコンポーネントから作ることができます。ですから、既存のモデル構造をそのまま重複して作ることが、ことのほか容易になりました。

階層モデルを使うことで、より抽象度の高いモデルを作ること、あるいは保守するのが容易な小さな部分やサブ・モデルに元の複雑で大きなモデルを分解すること、そしてあるプロジェクトから別のプロジェクトにモデル構造を使い回しすることなどが可能になりました。

階層モデルによりサブ・モデルの中に仔細な内容を
隠してモデルを築けるので、モデルを読んだり理解
するのが容易

―――――――――――――――――――――――― 

改善されたシミュレーション性能

以前のStudioでは一つのプロジェクトの中のそれぞれのコンポーネントに対して、ただ一つの条件についてしかシミュレーションを実行できませんでした。しかし、Ps Studio 2003 では実施したいだけの数の条件についてシミュレーションを実行できます。それぞれのシミュレーションはそれぞれの変数の値の独自のセットを保持します。

しかし、モデルの構造はそれぞれのシミュレーションで一緒です。コンポーネントの共有ダイアグラム(Shared Diagram)における変更は、たえず全てのシミュレーションに反映されます。しかしながら、個別のダイアグラム(Private Diagram)を使うことで、実行しているシミュレーションに対してユニークなダイアグラムを作ることができます。

時系列データについても改善されています。一定の期間の要約情報を記録することができます。要約情報の形式として、平均値、累積値、最大、最少などの中から選択できます。

上述のほか、シミュレーション速度の最適化、方程式の新しく見易い表現、単位、コ・モデル、レンジ、そしてインデックス変数などについても改善されています。  

要約形式による一定期間にわたる要約されたシミュレーション
結果の表現
結果は時間軸グラフや時間軸テーブル上に表示
 

――――――――――――――――――――――――――― 

新しいモデリング機能

特に、長い変数定義を実装するときなど、変数定義のための属性ページが大幅に改善されかつ簡潔になりました。
VBFUNCTIONと言う新しい関数を使えば、VBSciptによりプログラムを書くことで、自分独自の関数を作ることができます。  
ダイアグラムの中で変数の表現を直接的に変更するとき、変数表現の妥当性がプログラムの中で自動的に検証されます。
また、リンクとフローの接続シンボルを動かしたり、より柔軟にカーソルの点位置を変更したり、あるいはステータス・バーに効果的なメッセージが表示されるなどから、ユーザーは新たな使いやすさを感じると思います。
複数のダイアグラム間でシンボルを移すことについても大幅に改善されています。
シミュレーション・モデルの実行が終わって、報告のためのドキュメントを書き始める時、モデル構造をドキュメントにグラフィックのように直接貼り付けることができます。  
 
これ以外に改善された新しい機能としては、削除とアンドゥの改善、例えば方程式や単位の木構造の中のテキストの検索、利用者自身のフォルダーの中へコンポーネントとデータセットを作れることなどがあります。
 

――――――――――――――――――――――――― 

データセットの連結性能

データセットは Ps Studio 2001 から完全に作り変えられました。ユーザー・インターフェースはよりフレンドリーになり、データセットにモデルから変数をドラッグ アンド ドロップできるようになっています。データセットの内部の仕組みも大きく改善されました。

新しいSAP-SEM のデータセットにより、Ps Studio 2003 は単独でもSAPシステムと接続したままでも実行できます。そしてStudioの中に複数のデータセットの実体を作ることができます。

スプレッドシート・データセット用のインターフェースも設計しなおしました。その結果、マイクロソフトExcelとの間の転出入がとても簡単になっています。  
 

Studio 2003は、新たに Studio のデータセットを組み込みました。そこではシミュレーション・プロジェクトの内部記憶装置に時系列データを保管することができます。このStudio データセットによって、シミュレーション結果を後刻に使うために保管すること、シミュレーションの中で使われる時系列データを手で変更すること、幾つかのコンポーネント間でシミュレーションデータを共有することなどが可能になりました。

総合的に判断して、以前の Studio のバージョンに比べて Studio 2003 ではデータセットとの接続がはるかにコントロールし易くなったと言えます。
 

――――――――――――――――――――― 

シミュレーションのプレゼンテーション

上述の時系列データの改善により、以前よりもシミュレーション結果をより興味深くプレゼンテーションできるようになりました。Studioの中で使うことができるグラフとテーブルの改善と相まって、メッセージを伝える強力な手段となりました。そして、ウインドウズのクリップボードへ時間軸グラフをコピーすることさえできます。  
 
一つの
コンポーネント内の全てのシミュレーションに対して同じシミュレーション・インターフェースを使われるので、ハイパーリンクは相互に張られます。  
また、
インデックス変数を組み込んだので、配列変数の選択をコントロールできるようになりました。

インデックス変数は入力制御によるパラメーターとして使われ、
次に、インデックス変数は出力制御のパラメーターに索引付け
して使われる。
それで、複雑なシミュレーションのユーザー・インターフェー
スが大変簡略化された。


制御部にパラメーターを追加するのは簡単ですから、シミュレーションの開始あるいは終了時刻のようなシミュレーションの細部を設定するのにさえ、制御部を利用することができるようになりました。スイッチ制御部の状態を自動検出することにより、インデックス変数や論理変数を制御するボタンを作ることも簡単です。

その他の新しい機能としては、領域コード、ティック・ラベルの回転、時間軸グラフの中の棒グラフとステップ・グラフ、データセットを使っているときのプレゼンテーション・モードから外部データの保管と移送ができることなどがあります。

POSY社からのメッセージ
1999年にPowersim製品を販売開始して以来、やっと待ち望んでいた実用的な機能を有するシステム・ダイナミックス・ツールが誕生したと感じています。
現在、Powersim製品以外のSDツールをお使いの方々にも垂涎のツールであると確信しています。
新しい機能が豊富なため、発売時期が予定より遅れて2003年7月になりましたことをお詫びします。
フリーの評価版は左のフレームの”Powersimのダウンロード”からPowersim社のHPに入ってダウンロードできます。また、日本語表現のモデルについても左のフレームの”モデルの配布”からダウンロードしてStudioの評価にお使いいただけます。

なお、SAP-SEM-BPSにバンドルしたPowersim製品を多量にお使いいただいているお客様には、大規模顧客向けの対応をとらせていただきます。

ご不明の点につきましてはご遠慮なくメールでお問い合わせください。 
(松本憲洋)

Studio 7 の特徴をご覧になるにはここをクリックしてください。
Studio 2005の特徴をご覧になるにはここをクリックしてください。