タイトル:災害対策:ガス爆発の事例(GISとの統合)
分野:公共事業

概要:
地理情報システムGISとPs Studioとを結合したシステムの事例について紹介します。現在、公開されている適用例は、ガス爆発による有毒ガスの流出シミュレーションと、降雨による滞留水のシミュレーションがあります。対象とする地域のGISPs Studioが一体となれば、セキュリティの領域だけでなく、農林水産、環境、ビジネス全般とあらゆる領域で有効な活用が可能となり、その成果も大きいだろうと予想されます。

詳細:
ここでは、ノルウェーの地方自治体によるガス爆発による災害対策を取り上げます。最初に、以下のURLをクリックして、ガス爆発の例をPowersim社のWeb上のビデオでご覧下さい。
http://www.powersim.com/main/business_simulation/view_simulation/gas_simulation_video/

上記をダブルクリックしてそのページが開かない場合には、URLの行をコピーして、Internet Exprorer の上端のURLの入力枠に貼り付けてEnter key を叩いてください。



ガス・シミュレーションの使用目的としては、次の二つのケースを想定しています。
  1.発生した現実的な事象の再現
  2. 事故が起きる前のリハーサルでの活用

ガスの噴出はガス特性と天候に基づきシミュレーションされます。シミュレーションのあとで、データはGISシステムへフィードバックされ、必要不可欠なデータに結び付けられます。その結果、危機的な状態に陥った地域では、より良い 脱出方法を選択して、学校、幼稚園、病院から人々を避難させることになります。

実際にノルウェーでタンクのガス爆発事故が発生しました。

2008年の524日に、ノルウェー、Gulen地方自治体のSlovagにあるVest Tank設備でT3T4のタンクが爆発し ました。数分の内に、460トンのガスが流出しました。ガスは一瞬にして燃焼したと考えられています。しかし、多くのガスが空気の中に入り組んで、風と共に広い地域に分散したので、およそ1000人の人が住んでいるその地域は、ガスのにおいに襲われ ました。

下の地図は、爆発後7時間経った時点で、ガスが辿った場所のシミュレーション結果です。このシミュレーションは、Ps StudioNorkark社のGISLineとを組み合わせて実施し ました。被害がいかに広がったかについては、下記のURLにあるBergens Tidende新聞が発表した記事にあるアニメーションを参照できます。(同新聞は西ノルウェーで最大の新聞社)

http://front.xstream.dk/bergenstidende/player_silverlight/silverlight_player.php?id=12571&offset=&selectCategoryId=SISTE

さて、ノルウェーのスタバンガー地方自治体では、上述のシステムを2008から使っています。
スタバンガー市緊急管理局長のTorstein Nielsen氏は、Studio 7 GIS(*)の活用を始めた動機について次のように語ってい ます。

(*)Studio 7 GIS – Simulation with geographical information

「シミュレーションをGISと結びつけると大変有効な道具になる。そして被害を防ぐ場合や緊急事態への備えを増強する場合に使われると、その地域に住んでいる住民に対する安全性が改善される。」

スタバンガー地方自治体は、同自治体の安全性を向上させる計画立案の補助として、GISを使い始め ました。ディジタル・マップはリスクが高い地域の情報交換には大変良い方法です。それは洪水の履歴がある地域とか、あるいは、引火性の物質の貯蔵によりその周辺に対する潜在的な危険が存在するような地域を指してい ます。

スタバンガー地方自治体においては、二種類のGISモジュールがシミュレーション・モデルと結び付けられてい ます。一つのモジュールは、大雨の後に発生する地滑りと洪水に関する潜在的可能性の問題を取り扱っています。もう一方のモジュールは、ガス漏れのリスクに関する問題を取り扱ってい ます。いずれも、住民が住む地域においてそのような事象の影響をシミュレーションすることによって問題に対応しています。

Torstein Nielsen氏は、次のように言っています。

「これらのシミュレーションにより、リスクと脆弱性の分析の導出、警報設備の計画、現実的な訓練の実施が可能になります。特に、現実の非常事態の対処管理において使うことができます。このツールは限界状態での重要な意思決定を支援してくれます。事象を見える化する開発は、計り知れないほど重要なのです。われわれの既存のシステムともうまく連携できて、ツールは、論理的に組み立てられていることと簡単な操作性という二つの観点から、大変ユーザーフレンドリーなのです。

スタバンガーの地方自治体は、AREALIS協力活動に参加しています。

AREALIS
は国家プロジェクトで、地域、資源、計画情報を地方自治体や国家間で容易に共有化するのが目標で す。主目標は、地形情報やそれに帰属する情報が、下部機関から計画立案機関へ流れる効果的な協定を編成することです。個々の主要テーマは、社会の安全性の観点から決定され ますが、それは現在開発中です。計画は次に述べるようなテーマ構成の下で立案されています。そのテーマとは、自然におけるリスク、企業におけるリスク、脆弱な対象、インフラストラクチャ、警報装置資材、そして多分ROS分析も含まれ ます。ROSはリスク分析と脆弱性分析に有効です。

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