モデル・ベースト経営

     JSD研究発表会(2003年3月19日)において発表

  発表者 :松本 憲洋 (有限会社ポウジ代表)

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現在の社会は情報・通信技術により空間的・時間的なバリヤーが消滅し、この数年はグローバル化と国内の規制緩和も実体として進んできた。さらに現在では経済はデフレ状態に陥り、他社に倣う従来どおりの企業活動のままでは事業の成長どころか持続さえ困難な状況になっている。

こんな状況の下で企業を経営するにあたり、確固たる事業戦略を十分な時間をかけて練り上げ、長・中期計画に展開して、それをPDCA業務管理サイクルを使いながら粛々と実施していたのでは、とてもではないが社会・経済環境の急激な変化に的確に適合できず、対策が後手後手に回りがちになる。

そこで環境の変化に適応して、戦略そのものの修正・変更を直接実施するために、継続的な戦略学習ループと業務管理ループとを併設した、いわゆるダブル・ループ・プロセスを導入する必要性が出てきている。この二つのループはいずれもPDCAプロセスで回る。戦略学習ループのチェックとアクションにおいては、システム・ダイナミックス(SD)によるビジネス・モデリングとシミュレーションとを適用して、戦略あるいは中期計画を導く基となった仮説の妥当性を、その時点の外部環境の下で検証し、必要があれば外部環境に合わせてそれらを再適合させる。

このようにモデルを使って仮説を分析・検証・適合して戦略あるいはそれを展開した中期計画をリファインすると共にビジネス・プロセスを設計するやり方を指してモデル・ベースト経営と呼ぶ。本論文では、バランスト・スコアカード(BSC)に組合わせたモデル・ベースト経営の有効性について提言し、小さな街のベーカリーを対象に、適用形態を具体的に検討した結果について述べている。

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