[適用例1 :アンドロメダ社の価格戦略]

                                                                 
(注 :Ps Studio2001 によるレポート) 

アンドロメダ社の価格戦略  ●サプライチェーンの在庫戦略  
Powersim Solver の概要

 

アンドロメダ社の価格戦略

家庭で使う画期的な環境対策新製品を開発しました。この製品は購入した後、6ヶ月毎に保守が必要で、3年経つと買い替えが必要です。製造原価は3,000ドル、保守原価は500ドルです。

潜在顧客は15,000人いるとの調査結果があります。営業部員による訪問販売と既存顧客数に応じた口コミによる販売促進がプラスの要因である反面、潜在顧客の減少、客離れによる悪口、高い販売価格などによる需要の減少というマイナスの要因も存在します。

 

新製品ですから、営業部員は最初から300人投入します。ただ、販売が進み潜在顧数が減少してきたら削減します。給料は4,000ドルです。

 

サービス部員は当初40人ですが、既存顧客が増えるにつれて、サービスの質を保つよう増員します。しかし、サービスの質により決る客離れは、既存顧客の2%までは仕方が無いと思っていますので、それ以下になるとサービス要員数を削減します。サービス要員の給料は3,000ドルです。また、毎回の保守の価格は、販売価格の1/6です。

 

他社が真似して追いつくまでの「5年間に最大の累積利益」を上げられるよう「販売価格」を決定したい。

 

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最適価格は 12,360ドルです。

 

この価格を求めるために、前述の状況を分析して因果関係図を描きます。それに基づきフローダイアグラムを描きます。フローダイアグラムの各要素について定義します。

その後で、調査資料、統計資料などを使ってモデルを確定します。モデルの一部を下図に示します。モデルが、ストック、フロー、補助的変数、定数で表現されていることがおわかりいただけると思います。

 

そのモデルを Powersim 商品のひとつである Solver に入力して、5年後の累積利益が最大になる価格を自動的に求めます。 Solver については後ほど説明しましょう。

 

原価が 3,000 ですが、求まった価格は少し高すぎると思われませんか。そこで、8,000ドルと16,000ドルについてもシミュレーションして、顧客数と累積利益を比較してみました。

グラフを見てください。

 

やはり、Solver が導いた値が5年後に最大の累積利益をあげることが再確認できます。

 

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サプライ・チェーンの在庫戦略

 

メーカー、卸業、小売業のあるサプライ・チェーンで、小売業の品切れが頻繁に発生しています。在庫を増やせば品切れは解消するのですが、在庫を増やしたくはありません。現在までの販売データによると、平均の需要は1,100個で、変動振幅はその25%です。需要は120日の周期で正弦的に変化しているようです。

 

小売の需要予測は需要の6日間の1次指数平滑化により、卸の需要予測は小売注文量の6日間の1次指数平滑化により、メーカー需要予測は卸注文量の6日間の1次指数平滑化によりそれぞれ求めています。

 

注文量はそれぞれの在庫目安に比べて既存在庫量が不足していたらその分を注文しています。それぞれの在庫目安は、それぞれの需要予測に対する備え日数分です。

 

1日あたりの「メーカーの生産能力」、「卸への供給能力」、「小売への配送能力」と「それぞれの備え日数」とを調整して、「3箇所の在庫を最小」にかつ「品切れを極力発生させない」ようにサプライ・チェーンの運営条件を設定したい。

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決めるべき条件以外を固定すると、最適な条件は Solver により以下のように求められます。 

 

    メーカーの生産能力      = 1,400個

    卸への供給能力        = 1,900個

    小売への配送能力      = 1,700個

    メーカーの在庫の備え日数   = 1.6日

    卸の在庫の備え日数     = 2.1日

    小売の在庫の備え日数    = 2.4日

 

この6つの条件を求めるために、前述の状況を分析して因果関係図を描きます。

それに基づきフローダイアグラムを描きます。フローダイアグラムの各要素の定義をします。その後で、過去の日程ベースの売上などの実績とシミュレーション結果が良く合うように Solver のチューニング機能を使って、変え得るその他の変数を変更します。そのようにして求められたモデルを以下に示します。

 

このモデルを Solver へ読み込ませて、3つの累積在庫が最小になり、さらに累積の品切れが起こらない3つの能力と3つの備え日数を Solver の最適値を求める機能を使って自動的に計算します。ただ、在庫が十分あれば品切れは起こらないわけですから、3つの累積在庫を最小にして累積の品切れをなくすという条件は自己矛盾を含んでいます。そこで、最適値を求める際に、各在庫の最小条件にはウェート1を、品切れの最小条件にはウェート8を設定して、品切れがより起こりにくいように調整しています。

 

3つの備え日数を2日にして、3つの能力を1,400にしてシミュレーションした結果と、最適条件による結果とを比較して以下に示します。品切れが極端に少なくなっています。在庫の備え日数も余り大きくはなっていないようで、シミュレーション結果の在庫もほぼ1日の販売量を平均にして変動しています。

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Powersim Solver の概要

Solver には4つの機能があります。モデルのチューニング、最適値の導出、リスクの評価、リスクの管理です。

従来ですとそれぞれの変数に対して感度解析をして、目的関数の条件に合致する変数を求める必要がありました。しかし、Solverを使うとそれらが自動的に求められます。実用上は大変有用なシステムと言えます。

 

ここでは操作の流れに沿って画面のみを紹介します。

@ 使用目的を設定

対象とするモデルを保管しているファイルを、Solverに入力した後の画面です。

ここで、SelectTaskのラジオボタンで使用目的を設定します。

A 目的項目と決定対象項目

決定する変数、目的とする変数、仮定している変数をPowersim Constructor Variable から選択して、Select Variableの中に定義します。

 

B ソリューション条件設定

決定する変数、目的とする変数などの諸条件を設定します。 

 

C ソリューション実行

決定する変数に対してリニア・インターポレーションなどシミュレーション条件を変更しながらシミュレーションを自動的に繰り返し、目的とする変数の条件により近い結果を求めます。

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